看護実習で一番印象に残っている事

 実習ではいろいろな科をまわり、いく先々で印象的な患者さんとの出会いがありました。その中で、小児科実習の時に受け持った男の子のことが忘れられずにいます。5年生の男の子で、喘息発作で入院してきた子でした。それまでにも何度か発作を起こし、その都度入院を繰り返してきた子で、本人も家族も入院していることに関して、悲観的にもなっておらず、むしろ楽しい入院生活を気楽に送ってているという感じでした。5年生の男の子なので、無邪気に絡んでくることもなく、話しかければ答えてくれるけれど、はにかんで必要以上なことは、何を話していいのかわからないというような、どこにでもいる元気のいい、素直な少年でした。
 毎日決まった時間の吸入をするくらいで、行動もとくに制限はないし、呼吸の音はなかなかよくならないけれど、入院している中では動くのに大変なほどの苦しさもなくなってきて、看護といっても検温と、本人と家族への指導くらいしかやることもないような状態でした。
 ある時検温をしようと思って、ベッドのカーテンから声をかけながらさっとあけたら、ズボンを下ろして股間を触っている場面に遭遇してしまいました。「あ、ごめんね」と急いで退室し、その後少し時間をあけて声をかけて、お互いになにもなかったように振る舞いましたが、10年ほどたった今でもその男の子のことがとても気になります。こっそり秘め事をしていたところを、他人に見られてしまったことによる心の傷は癒えたかな・・・と。彼自身、今でも思い出しては「あー!!」と叫んでいるに違いないという気がします。男の子だった彼も今は二十歳をゆうに超えているはずです。彼の行く末が気になるという点で、今でもとても印象に残っている患者さんとの思い出です。